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食べる分だけ汁をかける氏政

今年の大河ドラマ真田丸」は過去作に比べると独走というほどでは無いにしても順調に視聴率を維持しているらしいですね。
先週の日曜日は忙しくて見れなかったので昨日再放送を見ましたが、第1回のラスト、真田家周辺大名の紹介のシーンで北条氏政の食事のシーンが出ていた続き?が出ていました。

 

第1回のラストで登場した北条氏政は飯に汁をかけ足していましたが、これは甲陽軍艦で紹介されている北条氏政の「欠点」のエピソードです。
最初に見た時は思わず吹いてしまいましたが、大抵の場合北条氏政は北条家滅亡の契機を作った暗愚の大将として扱われることの多い人物なのに、真田丸ではおバカ扱いされていないどころか、威厳と狡猾さを併せ持つ脅威の大大名として描かれています。

 

近頃は歴史上の人物の再評価が盛んですが、やっぱり北条家はマイナーなんですかね?
南関東出身の私にしてみれば北条家は非常に身近な存在で、なぜ未だに北条家が大河ドラマにならないのか不思議でしょうがないのですが、北条氏政の再評価はまだまだ芳しくないように見えます。

 

そんな中、今回の真田丸では歴史好きにとっては有名なエピソードを逆手にとって、己の信念を楽しみながら貫き通すベテラン当主(既に隠居してますが、実質的には最高権威)ぶりを発揮しているようにも見えて、なんとも面白い展開になってきました。

 

ちなみに甲陽軍艦の一節とは、飯に汁を掛けて食べる事は毎日やっているはずなのに、いつまでたっても一度でかける量を見極められない、つまりは学習能力がないから北条家を維持できないと親に嘆かれたエピソードとして紹介されていたと思います。
(甲陽軍艦じゃなかったかもしれません…記憶違いならすみません…)

 

しかしそれは結果を見た後世の人間の評価であって、当時1万もの軍勢を集められれば脅威の大大名といわれる中(当時上杉景勝徳川家康が動員できる軍勢の数が大体その位)、同じ時代を生きる当事者達にしてみれば、3万とか4万もの軍勢を簡単に集められる超大大名は脅威以外の何者でもない。

大河ドラマで扱っている「天正壬午の乱」(織田信長死後の甲斐、信濃を巡る北条、上杉、徳川による争奪戦)では、他大名の動員数が上杉景勝徳川家康が1万前後あたり、真田を初めとるする信州の国人衆は数百人から数千人ぐらいに対して4万3千という圧倒的な兵数を動員したようです。異常です。


しかもこの北条氏政は、敵にとっては脅威の代表格ともいえる武田信玄上杉謙信と境を接して争っていた時代から、織田信長豊臣秀吉と対峙する時代へ移行するという、世の情勢が最悪の敵を巡ってめまぐるしく変わる時代で、ほんのちょっと足を踏み外せば自分だけでなく自分が抱える全ての部下とその関係者全員を不幸のどん底に巻き込みかねない環境を生き抜いてきた人物です。

しかも、そんな情勢の中でも北条氏政は北条家最大の版図を築いた人物でもあるので、必ずしもダメ当主とは呼べない、というよりむしろこれ程までに絶望的な隣国を相手にしてもジリ貧になるどころか積極的に攻勢に出ている辺り、まさに今回の大河ドラマの描きよう同様、狡猾で威厳のある当主だったのではないかと思うのです。

 

思うに、北条家が武田信玄上杉謙信に比べて評価され難いのは、北条家の版図が後に幕府の中心地となる徳川家康の本拠と重なるため、江戸時代に徳川家に遠慮して囃し立てられることが少なかったのが原因ではないかと個人的には感じています。

(江戸時代の評価は、意外と明治以降現在までもそのまま残っている例が多いようです。)

 

ちなみにドラマの中では「食べる分だけ汁をかけるのがワシのやり方」と言っていましたが、言ってみれば高級レストランでカレーとライスが別々に出てきた時に、カレーをちょっとずつライスにかけて食べるようなイメージですかね?
そう考えると、私はそういった食べ方はしないですが、なんとなく理解できるような気もしてきます。